ラッチ・キューブの解法・覚書 (2010/09/15 09/25第3改 by TUN) 以下では、分かりやすく、白を底面にして揃える説明にしている。配色や矢印が一通りでない場合は、以下の構成を参考に適宜読み替えて。 色 置  可動  ラッチ 白(D):左回り(左右) 緑(F):左回り(上下) 黄(R):左周り(左右) 黒(U):右回り(左右) 赤(L):右回り(左右) 青(B):右回り(上下) F、R、B、Lの位置は適宜、持ち替える。 コーナーの+は時計回り、−は反時計回り 手順の 'は反時計回り、数字は90度を1とした値。 〔I〕ラッチ位置を決めて手順を使えるようにするために、エッジを揃える。 まず、2段目までのエッジ。 (1)最下段(白)の十字揃え。 (2)中段のエッジ揃え。 (2−1)白面十字が揃った段階で、左回り矢印2個が3個固定されている。 次には、残りの左回り矢印である、黄面エッジを先に揃える。 その過程では、上面にラッチがかかっている時に必要に応じて、白面ラッチなしエッジ(緑、青)を上段に180度回転でラッチを退避して、上面を移動させた上で復帰するというのも有効な手段である。 エッジの入れ方の基本は、ルービックキューブと同じで、「迎えに行って、入れて戻す」「入れて逃がして、戻す、戻す」。上面にあるエッジの向きで。どちら側に迎えに行くか、どちらの側から入れるかが決まる。必要に応じてエッジの向きを変える(後述手順)ことも有効。矢印なし白エッジが上段にある場合は「左右エッジが左右逆になった状態に、白エッジを持ってきて180度」という手法も使える。 目的とした操作のためには、操作を阻害しているラッチを外す作業がしばしば必要である。排除する矢印が一つだけなら、反対方向の矢印に置き換えててもいいが、二つ以上あるときは、無印に置き換えていくという作業になる。 (2−2)黄面エッジが揃ったら、左回り矢印があるのは、黒・緑のエッジの緑部のみになっている。この黒・緑エッジが上面で反転(緑が上)していると、上面にラッチがかかって、二つの中段エッジ揃えが困難なので、ここでその捩れをとって置く。 【エッジ反転操作の基本的な考え方】 黒緑エッジを正面に持つ。 まず、(#1)上面にある緑矢印を緑面または黄面の側(左回り矢印を持っている面=左回り面)に向ってUもしくはU'。(#2)ここでは上段はラッチフリーになっているので、この左回り面がフリーになるように、上側面が無印を探して、状況に応じてU*(*は0,1,2,3)。 (#3)#1の左回り面をUもしくはU'で、黒・緑エッジを上面に持ってくる(黒が上面になっている)。(#4)上面に出た黒緑エッジをU*で逃がして、緑面または黄面を戻し、さらに、U*で前面エッジを元に戻す。退避するU*も左回り面を戻した時に正面がラッチフリーなように無印の箇所を探す。 ----Fの例を示す。 F Ux R Uy R' U* F' が一般的な形 後述E1手順もE1逆手順もこの1種 F R U R3 U3 F' F U R U3 R3 F' ●$1 F R U2 R' U2 F' L⇒F⇒Rで、LとFが反転 ●$2 F U' R U' R' F' F⇔R,B⇔Lで、LとFが反転 ●$3 F Ux R U' R' U* F' ---- (2−3)残りの中段エッジを揃える。 (3)最上段のエッジを揃える。 (3−1)エッジの方向揃え まれなケースで、黒・緑エッジの反転が残ったまま、中段エッジが揃ってしまうケースがあるが、上記手順でまず、反転を取る。 但し、上記手順が使えない場合がある。 ※黒面の矢印が4個の場合、3(4)手目のUxの何れでも4(5)手目のR'で、右回り矢印がFRに入る。最後のF'を妨げないためには、F面が、右回りの赤または黄センターでなければならない。 黒面の矢印が4個で、黒・緑エッジの反転が緑センターまたは青センターの上にある場合: 緑(青)センターの上にある時は緑(青)センターを右側に持って、E4左手順で、左側3エッジの3点移動、黒・緑エッジはは反転しないが2エッジ反転型になるので、上記手順で黒・緑エッジの反転が可能となっている。 黒・緑エッジの向きが順だが、他のエッジに反転が残っている場合。上面はラッチフリーなので、容易。 黒・緑エッジを緑センターの上において考えて(黒・黄と黒・赤は向きに関しては同値として)、黒・青エッジの位置で3通り、黒・青の向きで2通り、残り2エッジの向きの組み合わせで2通り、3×2×2の12通りで、うち3通りは向き揃いなので、結局9通り。 ●黒・緑エッジ反転の手法 上記だけでは、困難なケースがある。特に緑センターの上にある場合など……。 少し、手数がかかるがどんな場合にも適用できる手法を書いておく。 (1)まず、黄面の中段エッジを崩さないように、上面を緑の矢印だけにする。 (2)その時、上面はラッチフリー。赤面中段エッジの矢印は一方にしかない。赤面の左にある場合は、黒・緑エッジを左において、手順R1で赤面左を無印に換える。 (3)黒・緑エッジを緑センターの上に移動し、その緑面をを正面に持って、手順R2を実行する。 手順R1:L' U' R U' R' L 手順R2:F' U L' U L U' F (1)はコツをつかめばそれほど難しくない。黒・緑エッジがどこにあるかによって、少し要領が異なる。 まず、黒・緑エッジがラッチになっているので、これを90度ずらして、ラッチフリーにする。 この時、上面矢印が一つだけなら、黄面以外は、それを黒・緑エッジがあった箇所に移動して、黒・緑エッジを戻して、終わり。 そうでないときは、以下。 緑面、青面の場合は、黄面へずらす。ずらした側は赤面中段に下の白エッジが来ているのでここは使えない。 緑の場合で説明すると、中段エッジの左前面が無印の時は、L で無印を上に出して、上面の矢印をその場所に移動して L' で戻す。 左側面が無印の時は、Fで、無印を上に出して、上面の矢印をその場所に移動してF'で戻す。 残り1個になったら、それを黒・緑エッジがあった箇所に移動して、黒・緑エッジを戻して、終わり。 黄面の場合はどちらでもいいが、間違って黄中段エッジを崩さないように。 赤面の場合は、緑以外で上面矢印(とFで上面に出る左・前の側面)が2つ以上ならば、容易パターンを使える。 (赤面で、矢印を入れ換えたいときは、F'で左側面にきた白エッジを(RU*R')で、上に出してから、上記手順を参考に。) ※ 次に示す、E1手順の右対称及び逆の手順だけで、方向合わせできるようだが、他にも後継のE2手順やE4手順が使える場合もある。 ●E1手順 F R U R3 U3 F' このE1手順もエッジ反転操作の基本の一つで、ルービック・キューブでよく使われる手順。 以下、赤センターを正面、緑センターを右にした配色を示す。 内側が上面の色で、外側は側面の色。@は、赤と黄。 ここに示した手順は、一例に過ぎない。同時に位置も合わせてしまう最適手順があることもある。   青  □黒□ 黒@□黒緑  □@□   黒 【左E1逆手順】   黒  □青□ @黒□黒緑  □@□   黒 【右E1順手順】   黒  □青□ 黒@□黒緑  □黒□   @ 【黄を正面で、右E1逆手順】   黒  □@□ 青黒□黒緑  □@□   黒 【右E1順手順】   @  □黒□ 黒青□黒緑  □@□   黒 【左E1逆手順】   黒  □@□ 黒青□黒緑  □黒□   @ 【U2して右E1逆手順】   黒  □@□ 黒@□黒緑  □黒□   青 【黄を正面で、右E1逆手順】   @  □黒□ 黒@□黒緑  □青□   黒 【左E1逆手順】   黒  □@□ @黒□黒緑  □青□   黒 【右E1順手順】 (3−2)エッジの位置揃え、 ●E3手順 R2 Ux R2 Uy R2 Uz R2 x+y+z=0(mod=3) ラッチ条件:Rには、緑または青センター、不動エッジはそれぞれ青または緑にUの回転で配置。 (1)⇒(2)⇒(3)と移動させる場合、 不動エッジの対面が(1)になる。そこで、R2 次に、(2)の箇所をUxでRに持ってきて、R2 更に、(3)の箇所をUyでRに持ってきて、R2 最後に、(1)の箇所にUzでRに戻して、R2 揃ってない状態の場合、上面を回転すると2箇所が揃って、2箇所が揃ってない状態にすることも出来る。その時、さらに上面を回転して、1箇所が揃って3箇所が揃っていない状態にすることが出来る場合(黒面の矢印が隣接している場合)と、出来ない場合(黒面の矢印が対向している場合)がある。後者は一見、奇置換に見えるが、上面を90度ずらせば互換ので偶置換、なので、上記3点移動手順を2度やればいい。 前者の黒面の矢印が隣接している場合、2箇所揃ったときに揃ってないエッジで青または緑のエッジをセンターに揃えて(3箇所がずれている状態にして)、その面を左において手順を実行。 ※参考1:E2手順(左右2種とその逆) ラッチ条件:右順 *ULとF、*UFとR、*URとF、*FRと*RUとU(L,B)、*UF、*BUとR(F,B,D)、*UBとF L F R' F' L' R U R U' R' 動作:RとFが反転して移動。    逆手順は、FとBが反転する。 コーナーに干渉しない、エッジの転位を伴う3点移動。意外に使える手順だが、向き合わせだけE1手順だけで加納のようだ。 ※参考2:E4左手順(E2の動きの逆) R L' U' L U R'L F' L' F 黒面の矢印が4個で、黒・緑エッジの反転が緑センターまたは青センターの上にある場合に使える。: ※参考3:下段コーナーに干渉しない、エッジの転位なし移動には、通常のキューブではコーナーの方向揃えに使われる手順がある。 上段のコーナーにも干渉しない、エッジの転位なし移動の手順で、ラッチフリーな手頃な手順は発見できていない。 E5手順:(左右2種) ラッチ条件:右順 *FRとU面の向きがラッチでない、1段目の側面・RBLとR面の向きがラッチでない、等。 R'3 U R' U R'3 U'2 R' U2 移動: U⇒U⇒U B⇒R⇒F 〔II〕コーナー揃え ※コーナーの転位なし移動の手順で、ラッチフリーな手頃な手順を発見できていない。 ※コーナーの方向揃え手順は、ルービックキューブで使われている通常の手順は、エッジ移動を伴っている。エッジから独立したものは手順が長いが、やむを得ない。 ※ラッチによって対象性が破られていることに注意が必要。 ※もう少し短い手順があると思うのだけど・・・ ●コーナーの捩れ移動 手順C R L' U' L U R' U' L' U L ラッチフリー条件: 右手順(3手目U')、左手順(3手目U) 赤面の左右両手順が可動。 緑、青面の右手順が可動 緑面の左手順はU2して、青面センターをFで可動。 青面の左手順はU2して、緑面センターをFで可動。 黄面はU3で青面センターをFで、左右両手順可動(重要)。 このU3で緑面センターFの赤面も左右両手順可動(重要)。 移動:捩れ移動 右手順 U⇒B⇒L F⇒U⇒U R⇒R⇒B 左手順 U⇒B⇒R F⇒U⇒U L⇒L⇒B (4) (4−1)下段コーナー揃え 入れるべきコーナーが下段にあれば、手順Cで。容易でなければ、一度上面に退避させる。 ●白緑黄(白青赤)コーナー(DFR) 緑(青)面をFに。当該コーナーをUFR=黒青黄(黒黄緑)の場所(対角線の位置)に白緑黄(白青赤)として配置(手順Cで)。 そこで、次の手順(Rの可動方向は異なる) (R'3 U2 R' U2)^3 ●白黄青(白赤緑)コーナー(DRB) 緑(青)面をFに。当該コーナーをURF=黒黄緑(黒赤青)の場所に白黄青(白赤緑)として配置(手順Cで)。 (R' U2 R'3 U2)^3 視覚的に言うと、最初のRxは黒面の一方の矢印がある側の動き。当該コーナーを置く、対角線の位置というのは矢印を挟んだ反対側である。 上面4箇所のコーナー位置は、ラッチによって対称性が崩れているので、単純にUで見かけ上のその位置に持ってくればいい訳ではない。 ・まず、Cの手順を使って、当該のコーナーの方向を修正、白を上面に出す。 +の回転はRFからRBへの移動(その逆は当然−の回転)。 ーの回転はLBからRFへの移動(その逆は当然+の回転)。 ・次に同じくCの手順で、当該のコーナーを捩れなしで移動する。 捩れなし移動は、RBからLB、またはその逆でRBからLB。 この手順を適宜持ち替えながら実行する。 黄面の場合はU3、終わったらUで戻すことを忘れずに。 (4−2)上段コーナーの位置揃え 手順Cを使って、上段コーナーの位置を揃える。 (4−3)上段コーナーの方向揃え 黄緑:緑赤:赤青:青黄 a)〔青右C緑右C〕^3 0 - - - a')〔赤左C黄左C〕^3 0 + + + b)〔黄右C赤右C〕^3 - 0 - - c)〔緑右C青右C〕^3 - - 0 - c')〔黄左C赤左C〕^3 + + 0 + d)〔赤右C黄右C〕^3 - - - 0 黄、赤のセット手順は、U3でセンターをずらして実行するのは前述の通り。 ・黒面のコーナーが2個ある場合は上記のどれかで、まず黒面を1個の状態にする。 (例:−の箇所が1個、+の箇所が1個あるので、−の1箇所を不動の位置にして、3箇所−の操作をすると1箇所が0、3箇所が−になる。) さらに上記手順の別のどれかを使って全ての向きを完成させる。 ・黒面のコーナーが0個の場合も上記のどれかで、まず黒面を1個の状態にする。 (例:−の箇所が2個、+の箇所が2個あるので+の1箇所を不動の位置にして、3箇所−の操作をすると1箇所が0、3箇所が+になる。) さらに上記手順の別のどれかを使って全ての向きを完成させる。 以上